キズだらけのぼくらは
裸の心
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まるで、しつこくドアをノックされ続けるみたいに、マウスのクリック音が不規則に鼓膜をたたいていた。
9月の上旬でまだ暑い部屋には、クーラーがきいている。
そのため閉めきられた自分の部屋には、余計にクリック音が響いた。
それでも私はピンクのハートの形をしたマウスパッドの上でマウスを滑らせ、カチカチと音をたてさせる。
ページを開いては戻ってみたり、またリンクを開いてみたり、別のウィンドウを立ち上げてみたり、子供がパソコンをいじり壊すみたいに音が響き続けているんだ。
もう、その音が耳にこびりついている。
画面はまっ黒で、その中には正反対の白で文字が書かれていて目がチカチカした。
私は大きなため息をついて、だらりと背もたれに寄りかかる。
首まで後ろに倒して丸い照明を見上げれば、眩しくて何度も瞬きをした。
見過ぎていたせいで、さっきの画面の残像がふわふわと漂っているように見えた。
眩しい太陽に目がくらんだ後よくなる、あの症状と似たようなもの。