キズだらけのぼくらは
先程までの勢いがなくなった私の指は、キーボードの上を彷徨う。
だけど、そんな指の動きも、この書き込みを見てピタリと止まった。
【ウソをついてどうする? 俺は、野球を俺から奪ったヤツらにいつか復讐してやる……】
私の心臓は、大きくどくりと脈を打つ。
ただの文字なのに、この耳に聞こえてくる気がした。
まるで憎しみの底から湧きあがってくるような声が。
鳥肌さえ立ちそうで、両手でさっと二の腕を抱える。
私はブラックにもソラにもびっくりした。
いまだに心臓がせわしなく働いているくらい。
だってふたりとも、簡単に自分を曝けだせるんだから。
それも、私より深そうな心のキズを……。
【ねえ、だから、ももたんのことをそんな風に思わないって言ったでしょ。それに大切なことを教えてくれた。もう、私たち仲間だよ】
ソラが私にあてた言葉。
仲間……。
その温かい響きはとても懐かしく感じられた。