キズだらけのぼくらは
私は、いつもそう思ってきた。
だからこそ、その考えは私の根っこになり、そうすることで私は踏ん張って生きてこられた。
けれど、昨日のことで、その根っこが一気に揺らぎそうになったんだ。
頭の中に、くっきりと白く浮かびあがる“リストカット”と“いじめ”の文字。
隠すことなく打ち明けられた、薄暗い部分。
私はいつでも、周りの人間をウソの塊だと思っているけれど、あの言葉だけはウソだと思えなかった。
顔が見えないからといって、今はもう、現実もネットも変わらない。
どちらでも自分を作ってうまくやっていかなくては、つつかれる。
だってこうして私は、どちらでも自分を作っている。
顔が見えないネットだからって、ドス黒い本音なんか書けやしない。
私が手放せないネットも、現実と同じなんだ。
なのに、彼らは平気であんなことを話す。
だから私は純粋に、すごいって思ったんだ。