キズだらけのぼくらは
教室に入ればそこは、わかりやすいグループ社会。
乱雑に机の位置は変えられていて、いくつかのかたまりが作られている。
そんな中で目立つのは、離れ小島のように佇む4台の机。
その机の位置から、ハブられている人間が誰かなんて、簡単にわかった。
もちろん、そのひとりは確実に私。
笑い声の交じる喧しい話し声は嫌でも耳に流れ込んでくるけれど、そんな声の飛び交う中を歩き、私は席へとたどり着いた。
椅子に腰をおろして、黒板の上にある時計を見れば5時間目が始まる10分前。
少し早く戻ってきてしまったなと後悔して、私は肩を落とす。
廊下側の席にふと目を移してみると、私と同じようにひとりきりでさっきの秀才くんが席についていた。
彼は相変わらず本にだけ没頭していて、まわりのノイズなんてまるで聞こえていないみたい。
私と同類の人間ではなく、彼はまったく違った種類の人間なんだろうなって、私はしみじみ思わされる。
それにしても、早く戻ってきてしまったせいで、嫌なものを見ることになってしまった。