優しい爪先立ちのしかた
彼の髪
死んじまえと言われた。
死んでしまおうと思った。
曇天から降る春雨が、瀕死の身体を打つ。
欲しいものも、守りたいものも、もう何もない。
決して誰かの為に廻るわけじゃないこの世界は、誰かが息絶えたところで止まったりしない。
それで良いから。
「ここは貴方のベッドじゃないんですけど?」
美しい世界よ、ありがとう。
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