優しい爪先立ちのしかた

ひょこひょこと片足を引きずりながらその後を追いかける。

夏の暑い日差しが、アスファルトに反射して焼け殺されそうになる。

それでも、比須賀をカナンはあの街から連れ出してくれた。







これほどまでに目を疑ったことはなかった。

ふらりふらりと、駅構内には入らずに上を見上げて…駅名でも確認しているのか。

制服姿のカナンが居る。

栄生は梢に言われたことなんて頭から吹っ飛び、羊羹をその場において引き寄せられるようにそちらへ歩く。

歩いていた速度はどんどん早くなる。

どうして、カナンが。
外の空気を吸ってくると言っていたカナンが。

ここに、居るの。

近づく栄生と、カナンの目が合った。

「あ」

しまった、という声。素直な女。



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