優しい爪先立ちのしかた
栄生は元々自分の部屋だった場所に部屋を割り振られた。
長く息を吐いて、畳に寝ころぶ。
柔らかい長い髪の毛が散らばった。
梢が見たら目を細めそうだけれど、まあ気にしない。
足音が部屋の前で止まったのを聞いて起き上がる。ノックなしに襖が開いたのに少し驚いて栄生は首を傾げた。
「栄生ちゃん!」
ひょこ、と覗いた顔は梢ではなく滝埜。
栄生の姿を確認して、躊躇いなく部屋に入り、首に巻きついた。
同い年にしては栄生より身長も体重もない。
起き上がって早々倒された栄生も「久しぶり」と挨拶を返した。