優しい爪先立ちのしかた
久しぶりに見た星屋の姿に、栄生は少し驚く。
「お久しぶりです、栄生さん。滝埜さん、車の用意が出来ました」
長い髪の毛が一つに束ねてある。
この人が本家にいるのは、なんだか違和感。
それにしても、星屋の美しさは昔から変わらない。
「久しぶり」
「そうだった、出掛けなくちゃいけないんだった」
「気を付けてね」
滝埜と星屋を部屋の前から見送った。
そこで、丁度二人と擦れ違う梢の姿があって、きちんと会釈をするのを見て栄生は少しだけ微笑んだ。
「遅れてすいません…本家って、ああいうのも扱うんですね」
梢は栄生の前まで来て、ちらりと二人が通った後を見る。
…ああいうの?
梢の意図することが分からず、首を傾げた。