優しい爪先立ちのしかた

苦笑いをした梢が首を振る。

「いえ、なんでもないです」

「何なの、ああいうのって」

「見た目の話です」

見た目?

更に栄生の頭には疑問符が増えていく。

星屋のことだろうか。髪は長いけれど染められてはいないし、服装もきちんとしている。

「染めるのは目立つのに、長いのは認められのかー…って」

栄生の部屋に入って座った梢を見て、栄生はここぞとばかりに前に座って寄りかかる。梢座椅子の完成。

「私だって長いけど?」

「それは栄生さんが女だからでしょう」

「…え?」

梢の言いたいことがようやく理解出来た栄生はそちらを振り向いた。いつの間にやら、襖は閉め切られていた。




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