優しい爪先立ちのしかた

まさか。

「星屋は女だよ? 小さい頃から滝埜の家についてるし、第一滝埜のボディーガードだよ? 男は有り得ないでしょう」

「栄生さんの世話係も男ですけどね」

「それは私だからでしょう」

自分で言って、自分で傷つく。

言葉というものは、分かっているものを再度明確にしてくるから、嫌いだ。

「私の所に来る人間なんて男だろうと女だろうと関係ないんだから」

前を向き直った栄生の脇腹に手を回した梢座椅子はそれを弱い力で抱き寄せよせた。

「……前から思ってたんですけど、栄生さんは自己評価が低いですね」

その言葉に驚きながらも悟られたくない栄生は、反応はしなかった。



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