優しい爪先立ちのしかた
チュンチュンと雀が何羽か庭に来たのを見て、栄生は咥えていた歯ブラシを動かした。
「あ、来たよ星屋」
角を曲がってこちらに向かう星屋。
見える奴には見えるオーラを放ちながら。
「あれは…結構怒ってますね」
「梢戦ってきてよ」
「内乱はよくないですから」
華麗にかわされた。そんな二人の会話を聞く余裕もなく、滝埜は栄生と梢の間で小さくなる。
だからといって、見えないはずはない。
「みなさんおはようございます、滝埜さんまだ準備が整ってませんよ。みなさんの邪魔にもなるので帰りましょう」
星屋の言い方は容赦がない。もしもこんな台詞を梢に突きつけられたら、と栄生は少し想像した。