優しい爪先立ちのしかた
そんなことを思った瞬間、だった。
「なあ、梢居るかー?」
ノックではなくその言葉と共に襖が開いた。
梢は固まる。
「何プレイ中?」
「お兄さん、梢に何か用ですか?」
「…人の部屋にノック無しに入るなんてどんだけ無作法なんですか」
三人の声が、重なった。
「あ、そうだ、お前煙草持ってねえ?」
「無いですよ、買いに行ってください。その足で」
「あと何分で宴会始まると思ってんだよ」
なら我慢しろよ、と吐きそうになった言葉を止める。危ない危ない。
前に座っていた栄生が不思議そうに嶺と梢を見比べる。
やはり、仲が良い。
「…で、俺はその体制に突っ込んで良いのか?」
流されたその質問を再度ぶつける。