優しい爪先立ちのしかた
四つの部屋を解放したその場所の半分の席は埋まっていた。低い長テーブルがいくつか出されている。
子供と親、祖父と、後は本家と分家で大体別れていた。
ちょうど、真ん中に栄生の両親が見える。
滝埜に呼ばれた栄生は子供の方へ、梢は庭師ときの知り合いが見えたのでそちらへ、嶺は連れの女の元へ。
三人の姿が見えたとき、ざわめいたのは分かっていたが、気付かないふりをする。
本家の異端者たち。
栄生は口にしないが、それを自分の所為で梢に負わせているのも分かっている。
「あの子が本家の?」
「そうよ、呉葉さんの、」
「使用人も派手ねえ」
「腹違いなのよ」
「氷室の品位を落とさないで欲しいわ」
栄生の後ろから聞こえた声に、背中が強張る。