優しい爪先立ちのしかた
「やっぱり栄生ちゃんは栄生ちゃんだと思って」
意味深なその言葉に、首を傾げる栄生。
パクパクと料理を周りの子供も取り始め、年下の男子内では肉の取り合いが始まった。その仲裁に入る滝埜。
それを見ながら、ちらりと梢の方へ視線を向けた。
普通に近くの同期のような人達と話している。安堵を感じながら、栄生は唐揚げの下に敷いてあったレタスを口に入れる。
「そういえば、どうして星屋と二人で来たの?」
「お母さんが寝込んじゃったらしくて。お父さんはそっちについててくれるから、私は一人で行くつもりだったんだけど」
「うん」
相槌を打つ。滝埜が器用に肉団子を箸で割った。
クーラーが効いていて、室内は暑くなかった。