優しい爪先立ちのしかた
梢はこの前まで本家の裏方に居た。その為か誕生日会の厳かさと面倒さはよく分かっている。今回集められたのは身内だけのようだが。
「梢はどうする? ここに残るか、一緒に来るか。まあ来た所で部屋で留守番だけど」
「一緒に行きます」
「楽しくないからね」
「分かってます。急に迎えに来いって言われても、行けませんから」
本当は心配なのと、氷室の中の栄生の姿が見たいのが入っている。梢の持つ栄生に関しての情報は少なすぎる。
栄生は梢の皮肉に笑って、近くにあった髪留めを投げつけた。
私そんな我が儘じゃないし! そう思う裏で、確かに我が儘ばかり言っているなと実感する辺り、まだまだだ。