優しい爪先立ちのしかた
あなたの靱帯
「その汚い手で栄生さんに触れないでください」
いつの間にか、梢が傍に居た。
その言葉に星屋も落ち着きを取り戻して、手を皿へ戻す。
“星屋さんがね、あの格好してるの私の為なの”
滝埜は仕方ないという顔をする。
“男の人、怖かった時があって。だから、ずっとあのままなんだけど”
栄生はそこまで聞いて、察した。
だけど、その逆接の言葉の次。
“一生変わらないものなんて、ないから”
それは、想いも一緒なのだろう。
滝埜が星屋に抱く感情が少し他とは違うものだとは、もうなんとなく栄生は分かっていた。
「で、栄生さんは何したんですか?」
すぐに梢は栄生の方を見た。