優しい爪先立ちのしかた
そーいえば同居人兼大型犬、大丈夫だった?
カナンが話しかけてきたのは放課後のこと。
兼て。一緒になったらしい。
とゆーか、いつの話題だそれは。
「まあ、元気」
「ところで雑種?」
「ゴールデンレトリバー…だと思ってる」
うん、と頷く栄生。後輩クラスの、カナンと同じ部活の子が教室に顔を出す。栄生にぺこりと会釈をして、カナンを見た。
「先輩練習始まりましたよー」
「はーい、今から行きまーす。じゃあね栄生ちゃん、誕生会から無事生還出来ますように」
御丁寧にどうもーと栄生は軽く手を振って後輩とカナンを送った。
鞄を持って、立ち上がる。教室から出て窓の外を見上げる。
無事生還出来ますように。