優しい爪先立ちのしかた
その腕を掴もうとしたが、するりと猫のように入っていく式鯉。
どうすれば良いのか、と比須賀もカナンの後ろで立ち尽くす。
「気にしないで、おいで」
カウンターの椅子を二つ分引いてくれた式鯉や柔らかく笑いながらこちらを向いていた。
ここの店主、義巳と仲が良いのだろうか。
二人は恐る恐る店に入ってその席につく。
「ただいまー」
「ん、お帰り」
奥の厨房から出てきた義巳が軽く言った。
カナンと比須賀に衝撃が走ったのは、言うまでもない。
「え、ここ先生の家ですか!?」
「もしかして義巳さんと先生って…」
金魚のようにパクパクとさせる二人の生徒に式鯉は苦笑。