優しい爪先立ちのしかた
前はよく思っていた。
傍から見て、二人はどのように映っているのだろうか。
でも、最近はそんなことも気にしなくなっていた。それは、外見はあまり関係ないと二人とも分かっているからかもしれない。
染め直さない梢の髪は、段々と色も落ちて黒っぽくなってきた。
「当主の本妻、お母さん…呉葉さんと私、結構似てるでしょう」
呼び方に迷った栄生が、結局落ち着いた名前。
梢は噴水の方を見たまま。
「髪とか輪郭とか、似てましたね」
「お父さんにも似てるって言われるの」
ふふ、と嬉しそうに微笑む。
本当に感情豊かな人だな、と梢は思いながら、いつの間にか栄生の方を見ていたことに気付く。