優しい爪先立ちのしかた

することも無くなってしまったので、カナン少し離れた所に座った。

何ともいえない違和感。

カナンが居るのに栄生が眠ってしまうのはよくあることなので気にしていない。

「…梢さん、大学って行きました?」

急に梢に振られた質問に、縁側からカナンの方へ視線を向ける。

「いえ、高校も中退です」

「え、格好いい!」

…格好いい?

この街ではすぐに情報が回ってしまう為、然々悪いことも出来ない。

「深山さんは地元ですか?」

「あー、てゆーか、家手伝おうかなって思い始めてて」

「深山コロッケを」

そうか、思えばカナンも家が自営業だ。

継ぐという選択肢もあるのか。

「栄生ちゃんにはまだ言ってないんですけど」



< 199 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop