優しい爪先立ちのしかた
「ハナちゃんが居ないと梢はちゃんと話を聞いてくれないじゃん。違う?」
「じゃあこの場でさっさと話せ」
「そのつもり」
進んでいく二人の会話に栄生が顔を上げた。
「…私、ここに居て良い…んですか」
「もちろん! 沢山肉食べてね」
にっこりと笑顔を見せた早穂は早速肉を焼き始める。話をするのではないらしい。
大人しく言われた通り座っていることにした。
梢は複雑な気持ちでいるが。
「あ、ハナちゃん。あたし、梢の幼なじみの早穂です」
「こんばんは、氷室栄生です」
出された手を握る。
「で、お母さんのことなんだけど」
いきなり本題に入った。
梢は不機嫌そうに「誰?」と聞く。