優しい爪先立ちのしかた

素早い動きで栄生は自分の飲み物を死守した。

カナンはケホケホと噎せながらテーブルの上を拭いている。大変器用で、馴れた様子。

構えた心は何処へやら。

「え、どこからそういう話になったの?」

「ところでって言ったけど」

「栄生ちゃんの思考回路未知過ぎて怖い!」

次は鳥肌が出た。忙しい身体だ。

栄生はそれを見ても、真実がどちらかというのは全く判断出来なかった。

図星だったから吹いたのか、それとも単に驚いただけなのか。
天然物はわからない。

梢は夕飯に使うコンソメが無いと言って買いに行った。

その間の女子高生ならではの会話である。

「カナン、夏休みも一緒に居たんでしょう? 愛の逃亡劇だって繰り広げちゃったわけだし」



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