優しい爪先立ちのしかた
結局、推薦は受けることにした。
本家に相談することはしなかった。栄生は自分で決めて、自分で受けることにした。
「栄生さん、勉強は順調ですか?」
助手席で窓の外を眺める栄生に尋ねたのは梢。
そちらを見て、眉を顰める。
「梢に言われてもねえ…」
「俺は純粋に心配してるんですよ」
「うそうそ、ちゃんとしてる。大丈夫」
赤信号で止まる。
梢は苦笑して、黙った。本当は栄生に話しかける余裕なんて無いのかもしれない。
母親の墓参りに向かうのだから。