優しい爪先立ちのしかた
縁側から見るが、雨戸が閉まっていなかった。
「梢?」
返事がない。
肩に掛けた鞄を強く掴む。
「梢!!」
「はい」
玄関の方でした返事。
栄生は早足でそちらに向かった。玄関の電気が点いている。そこに梢の姿が見えて安堵した。
「どこ行ってたの? 買い物?」
「いえ……、あの、中にいました」
栄生が入った後、戸を閉める。
「お帰りなさい、すぐに夕飯にしますね」
「え、何やってたの? 中真っ暗だったし、雨戸も閉められてなかったよ」
「すみません……」
まさか眠っていたとは言えず、台所に入って冷蔵庫の中を見た。幸い昨日の残りなどがあったので、温めれば良いかと顔を上げる。
台所に顔だけ出している栄生。