優しい爪先立ちのしかた
くすくすと笑った顔。いつもの栄生の表情だった。
「私もお兄さんのこと、好きですよ」
「そらどーも」
「梢の次の親友と同じくらい」
「おい」
その日から、栄生は病院に泊まることをやめた。
「入院!?」
受験勉強で息の詰まる教室から出たカナンと栄生は、階段の踊り場で休憩をとっていた。
「今は眠ってるけど、傷は大丈夫だって」
「植物、状態……?」
「ちゃんと起きますって、言ってた……」
ハッとカナンが我に返る。
しゅんとした栄生の表情を見て、手を叩いた。