優しい爪先立ちのしかた

復讐じゃない。

清算だ。







ふと手を握られている感覚に、ぎょっとしてそちらを見れば、幼い男児。

「え、っと。迷子?」

「どうしてここにいるの?」

見た所小学生上がりたてくらいの容姿。
にしては、きちんとした口調で梢に問う。

どうして、ここに。言われて初めて、ここが何処なのか考えた。

心配したような瞳が見上げてくる。何故か手を振りほどこうとは思えない。

「ここ、どこですかね?」

栄生に話すように敬語になった。男児はきょとんとした後、片方の手で天を指した。

「僕の居場所で、君の居場所」




< 303 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop