優しい爪先立ちのしかた
「あの人がお前の義理の姉だ」
まだ小学生にもならない義理の弟を連れて、嶺は顎で庭の水遣りをしていた栄生を示す。
窓にへばりつくようにそれを見て、大人しくシートに戻った。
「運動会の徒競走で一位になったご褒美、本当にこれで良いのか?」
ミラー越しに聞く。何も言わずにこくりと頷いた弟は、もう一度庭の方へ目を向ける。
「……シスコンは血なのかもな」
密かに笑った嶺が、シートに背中をつける。
フロントガラスの向こうの空が、青かった。