優しい爪先立ちのしかた
何度か屋敷に来たことのあるカナンは、「台所借りまーす」と言って早速台所へ行った。
「同じクラスの友達。中学の時から同じ学校で、ちなみに深山コロッケは絶品」
「へえ」
「信じてないでしょう、食べてみれば分かる」
決して深山コロッケのことを信用していないわけではなく、梢はただ、栄生に学校の普通の友達が居ることの方が新鮮に思えた。
「手伝ってきます」「行ってらっしゃい」
居間のテーブルの前に座って手を振る栄生を見てた台所へ入った。
素麺の袋を切ったカナンの姿が見えた。
「何か、手伝うことありますか?」
「卵あるかな? 錦糸卵作ってくれると助かります」
「了解しました」
冷蔵庫から卵を取り出した。