優しい爪先立ちのしかた
「それに、同居人兼…も見たかったし」
「粗方、同居人兼大型犬とでも言ってたんでしょうね」
「カナン…濁してる所が濁せてない…」
「あー今日は有意義な日だった!」
宿題終わってないけど! と付け加えたカナンは立ち上がり、お邪魔様でした、とスポーツバッグを手にした。
「もう帰るの?」
「宿題終わってないの。やんなきゃ」
じゃあ、と梢に一礼したカナン。同居人兼大型犬は、きちんと扉を開けた。
大通りまで送っていってあげて、と栄生が言うと小さく「はい」と返事をする。
「気をつけてね、また明日」
「うん、またね」
外は少し日が傾いただけだった。後ろから梢が着いてきたのを少し見て、苦笑する。