優しい爪先立ちのしかた
ホテルから出た二人が、繁華街を並んで歩く
いつもは少し後ろを歩く彼が隣に居るのが可笑しくて、栄生は隠れて笑う。
「夜遊びするのは、寂しいからですか」
触れられたその問題には栄生は少し考える。夜のネオンはまだ空に負けていない。
理由は兎も角、梢と唇を重ねた。いや、噛みつかれた。
それでも関係は変わらない。きっと、ずっとこのままだ。
…ずっと、だって。
「多分、そうなんじゃないかな」
他人事のように、栄生が答えた。