届きそうで。
はじまりの春
今年は…B組か。
「さーきーさーんっ、B組だよね⁈一緒 ー!」
そういいながら、私に抱きついてきた彼
女は、宮本結奈。
「やっと⁈やばい、うれしすぎるっ!神
頼みがきいたのかなー?」
「え…まだ神頼みしてたの?」
何、その顔。
「叶ったからいぃの。」
「でも、神様に毎年毎年フラれまくって
たもんねー。そのお陰で、咲と同じク
ラスになれなかったしー?もう勘弁だ
わー 。」
まあ、確か叶ったのは初めてなんだけど
ね。もう少し褒めてくれてもー。
「私のお陰ってことでー♪」
「そしたら今まで同じクラスになれなか ったの、全部咲のせいだからねー。」
「えっ⁈それは違うっしょー。」
「まあ、いいけど。それにしても中学か らうちら何で一回も同じクラスになら んかったんだろうね。」
何で?ってこっちが神様に聞きたいよ。
結奈とのこともあるんだけど、私が思っ
ているのは…
結奈、確かに、初めて叶ったんだけど
、でもふたつも叶ったんだよ?
なんていえないけど。私はふたつのこと
を願ったんだ。ひとつは、結奈と同じク
ラスになれますように。もうひとつは…
雄大と同じクラスになれますように。
ふわ…あ、この香り。パッと振り返ると
。…雄大だ。あのときの匂いと変わんな
い。いつまでも雄大なんだね。そりゃそ
っか。
森野雄大。私の…好きな人。小学校か
ら好きで、今よりもっと私は臆病じゃな
くて。本当に、友達って感じで。でもあ
の頃の方が、近く感じた。
そう、その雄大とも同じクラスになれた
。…たぶん進展はないかもだけど、少し
でも話して、笑って、思い出を作りたい
な。それが友達としてでも…胸がくるし
くなるけど…いいから。
ああ、嬉しすぎてジタバタしたい。近い
うち、結奈にも話そう。結奈はなんてい
うかな?なんて。言えるかな。
「さきー。教室いこー!」
「はーい。担任だれかな?高橋がいーい なー。佐野はもういやよっ。」
「佐野は勘弁だわ…。やばい、もうみん な行ってったんかな?時間あるからい っか。」
私達は、去年と違う下駄箱に靴を置き
、教室に向かった。