末っ子が迷子。
迷子になりました。変質者も現れました。
ある日の冬樹さんは三年に1度有るか無いかの珍しい1人での、帰宅途中。一人の理由はただ単に、庭先に現れた野良猫を追いかけたらいつの間にか公園に来てました、という夏海が聞いたら卒倒するだろう出来事のせいだった。
追いかけた野良猫はいつの間にか姿を消し、しばらくして夕方のチャイムが聞こえたので帰ろうか。と、それが約40分前のこと。
冬樹は天才的な方向音痴で未だに登下校が一人でできない。入学当初に気付いたら隣町でした、という事件が主に家族のトラウマになりそれ以来冬樹は一人で行動ができないのだ。
何度も来た事のある公園だし、家までさほど距離もないので自力で帰れるだろうと思ったのがまず間違えで、見知らぬ道にポツンと佇む冬樹は途方にくれていた。
(これは…あかんパターンのやつだ!)
己の状況判断は出来るものの、その打開策は見当たらない。持ってきているのはお出かけバックだけで、その鞄に携帯は入っていない。言わずもがな、家のリビングに放置である。
(ど、どう、したら… )
オロオロと辺りを見回すも夕飯時のせいか近隣住人はみあたらず、空は茜色から濃紺にかわり始めていた。
住宅街なのに電灯の少ない路地はまだ幼い冬樹には恐怖でしかなく、泣きそうになるのを必死に堪えながら大通りに繋がっていそうな道を歩く。
ふと、視界の先に人影が見えた、と思ったらその人影はこちらに向かって歩いてきており冬樹は一瞬その影が神に見えた。
取り敢えず道を聞くか、携帯を借りれないかと打診しようとその人影に近付くもなにやら様子がおかしい。
初夏に差し掛かりそうなこの時期にロングコートを羽織り、なおかつ深くかぶった帽子。
(これは…最高にあかんパターンのやつだ!!)
所謂コートマン。コートと帽子の隙間から伺える口元は下卑な笑みを携え、心なしかゆらゆらと横に揺れているようにも見える。冬樹さん、逃げて。ちょー逃げて。
「ふ、ぇえ…」
逃げろと頭では警報が鳴っているのに足が動かない。ゆらゆらと近づくコートマンはついに冬樹の目の前に立ち止まり、コートの合わせ目に手を添える。
「ひ、ひゃぁぁぁぁあああああ!!!!」
コートマンがコートを広げる寸前、叫ぶ冬樹はお出かけバックから素早くアルバムを取り出すとコートマン目掛けて投げ付けた。
本系の角って、当たると痛いよね。
「…ぐっ?!」
ナイスピッチングで角がコートマンの眉間あたりに当たり、コートマンが唸り声をあげてる隙に冬樹は再びバックに、手を突っ込む。
「ふぇぇええええ!!」
取り出したるはマイナスドライバー。それを見たコートマンは一目散に背を向けて逃げ出すも、パニック状態の冬樹は問答無用でその背へとドライバーを投げつけ見事クリーンヒット。
背骨に当たったらしく痛みからその場に踞るコートマンに冬樹は次々にバックから取り出した武器を投げ付ける。
「いぃぃやぁぁぁああああ!!!!助けてぇぇぇえ!!変質者ぁぁああ!!!!!」
六角レンチ、プラスドライバー、目薬、手帳と、泣き叫びながら次々に投げ付けていれば冬樹の悲鳴を聞き付けた近隣住人がコートマンを押さえ付け警察を呼び、錯乱状態の冬樹は近所の家へと保護された。
警察からの連絡を受け四季と夏海が警察署につく頃には冬樹も平常心を取り戻しつつも、夏海の姿を見るやいなややっと安心したのかすぐさま抱き着きわんわんと泣き出した。
「なんでケータイ置いてったんだ!」
「なんで私があげたネックレスしてかなかったの!?」
携帯を忘れていったことを怒る四季とネックレスをしていかなかった事を怒鳴る夏海。
「「GPSの意味がない!」」
ネックレスに発信機つけんなよ。
「ごめんなさいぃぃ…」
よほど迷子と変質者が怖かったのかボロボロと泣きながら謝り、嗚咽混じりになるまで泣いてしまったのでひとまず夏海が冬樹をあやし、四季が諸々の手続きを済ませる。
やっと帰宅できたのは夜遅く。
家に帰った冬樹は春希と秋良に再度怒られ、温かい夕飯を食べると疲れたのかすぐに寝てしまった。
その後、冬樹抜きで行われた家族会議では主に、冬樹のお出かけバックの中身について熱く語られた。
四季「あの中身おかしいだろ?!」
夏海「備えあれば憂いないでしょ?!」
四季「備えすぎなんだよ!!」
春秋(あぁ、やっぱ夏っちゃん指示だったんだ。。。)
おわり。
追いかけた野良猫はいつの間にか姿を消し、しばらくして夕方のチャイムが聞こえたので帰ろうか。と、それが約40分前のこと。
冬樹は天才的な方向音痴で未だに登下校が一人でできない。入学当初に気付いたら隣町でした、という事件が主に家族のトラウマになりそれ以来冬樹は一人で行動ができないのだ。
何度も来た事のある公園だし、家までさほど距離もないので自力で帰れるだろうと思ったのがまず間違えで、見知らぬ道にポツンと佇む冬樹は途方にくれていた。
(これは…あかんパターンのやつだ!)
己の状況判断は出来るものの、その打開策は見当たらない。持ってきているのはお出かけバックだけで、その鞄に携帯は入っていない。言わずもがな、家のリビングに放置である。
(ど、どう、したら… )
オロオロと辺りを見回すも夕飯時のせいか近隣住人はみあたらず、空は茜色から濃紺にかわり始めていた。
住宅街なのに電灯の少ない路地はまだ幼い冬樹には恐怖でしかなく、泣きそうになるのを必死に堪えながら大通りに繋がっていそうな道を歩く。
ふと、視界の先に人影が見えた、と思ったらその人影はこちらに向かって歩いてきており冬樹は一瞬その影が神に見えた。
取り敢えず道を聞くか、携帯を借りれないかと打診しようとその人影に近付くもなにやら様子がおかしい。
初夏に差し掛かりそうなこの時期にロングコートを羽織り、なおかつ深くかぶった帽子。
(これは…最高にあかんパターンのやつだ!!)
所謂コートマン。コートと帽子の隙間から伺える口元は下卑な笑みを携え、心なしかゆらゆらと横に揺れているようにも見える。冬樹さん、逃げて。ちょー逃げて。
「ふ、ぇえ…」
逃げろと頭では警報が鳴っているのに足が動かない。ゆらゆらと近づくコートマンはついに冬樹の目の前に立ち止まり、コートの合わせ目に手を添える。
「ひ、ひゃぁぁぁぁあああああ!!!!」
コートマンがコートを広げる寸前、叫ぶ冬樹はお出かけバックから素早くアルバムを取り出すとコートマン目掛けて投げ付けた。
本系の角って、当たると痛いよね。
「…ぐっ?!」
ナイスピッチングで角がコートマンの眉間あたりに当たり、コートマンが唸り声をあげてる隙に冬樹は再びバックに、手を突っ込む。
「ふぇぇええええ!!」
取り出したるはマイナスドライバー。それを見たコートマンは一目散に背を向けて逃げ出すも、パニック状態の冬樹は問答無用でその背へとドライバーを投げつけ見事クリーンヒット。
背骨に当たったらしく痛みからその場に踞るコートマンに冬樹は次々にバックから取り出した武器を投げ付ける。
「いぃぃやぁぁぁああああ!!!!助けてぇぇぇえ!!変質者ぁぁああ!!!!!」
六角レンチ、プラスドライバー、目薬、手帳と、泣き叫びながら次々に投げ付けていれば冬樹の悲鳴を聞き付けた近隣住人がコートマンを押さえ付け警察を呼び、錯乱状態の冬樹は近所の家へと保護された。
警察からの連絡を受け四季と夏海が警察署につく頃には冬樹も平常心を取り戻しつつも、夏海の姿を見るやいなややっと安心したのかすぐさま抱き着きわんわんと泣き出した。
「なんでケータイ置いてったんだ!」
「なんで私があげたネックレスしてかなかったの!?」
携帯を忘れていったことを怒る四季とネックレスをしていかなかった事を怒鳴る夏海。
「「GPSの意味がない!」」
ネックレスに発信機つけんなよ。
「ごめんなさいぃぃ…」
よほど迷子と変質者が怖かったのかボロボロと泣きながら謝り、嗚咽混じりになるまで泣いてしまったのでひとまず夏海が冬樹をあやし、四季が諸々の手続きを済ませる。
やっと帰宅できたのは夜遅く。
家に帰った冬樹は春希と秋良に再度怒られ、温かい夕飯を食べると疲れたのかすぐに寝てしまった。
その後、冬樹抜きで行われた家族会議では主に、冬樹のお出かけバックの中身について熱く語られた。
四季「あの中身おかしいだろ?!」
夏海「備えあれば憂いないでしょ?!」
四季「備えすぎなんだよ!!」
春秋(あぁ、やっぱ夏っちゃん指示だったんだ。。。)
おわり。