幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
足音をたてないようにそっと中に入ると、静かな寝息が聞こえてきた。
ベッドの上のタオルケットが呼吸に合わせて上下するのがぼんやりと見える。
三人は打ち合わせどおり聖を中心にして手を繋いだ。
妖に存在を気付かれないように聖が術をかけるらしい。
何でも奥之家に生まれた誘引体質の退魔師が一番はじめに習う術なのだそうだ。
「透明人間みたくなるの」
尋ねると聖はううん、と首を振った。
「完全に見えなくなるわけじゃないんだ。保護色みたいなものかな。」
ただ気づかれにくくするだけらしい。
でもこれだけでずいぶん違うのだと聖は微笑んだ。
「誘引体質の退魔師はほとんど無意識でこの術が使えるようになるまで訓練されるんだ。命に関わるから」
ベッドの上のタオルケットが呼吸に合わせて上下するのがぼんやりと見える。
三人は打ち合わせどおり聖を中心にして手を繋いだ。
妖に存在を気付かれないように聖が術をかけるらしい。
何でも奥之家に生まれた誘引体質の退魔師が一番はじめに習う術なのだそうだ。
「透明人間みたくなるの」
尋ねると聖はううん、と首を振った。
「完全に見えなくなるわけじゃないんだ。保護色みたいなものかな。」
ただ気づかれにくくするだけらしい。
でもこれだけでずいぶん違うのだと聖は微笑んだ。
「誘引体質の退魔師はほとんど無意識でこの術が使えるようになるまで訓練されるんだ。命に関わるから」