幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と







男の肉と骨を貪る。


とうに朽ちた骸。


アア……不味イ……ナンテ濁ッタ血ダ…………


ふと下を見れば、なんともうまそうな子供が二人、横たわっている。


ふわりと、笑みが浮かんだ。


這いつくばり、女の子供の方から流れ出た血を舐め、顔を顰める。


コレハ………喰エナイ……


喰ってはならないものだ。


内でむずがる声が聞こえる。


愛しい雛の声。


この子供たちを、食べては駄目だと泣いている。


血……血ガ欲シイ………


あの骸では腹の足しにはならない。


力は取り込めたが……


その時、愛しい幼子の意識が強く浮かび上がってきた。


再び、暗転。


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