幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
やっていることは一緒なのに、合宿という名前がつくだけで皆の顔つきが変わるのが面白い。


特に一年生。


今年の新入部員はたったの4人しかいない。


そのぶん同級生の間の結束は固いと見える。


入部したての頃のぎこちなさが抜けて、いっぱしにラケットを振る姿は、少し礼太に焦りを与える。


この合宿が終わったら、テニスともお別れなのに。


礼太にも先輩としての気概がないわけではないのだ。


礼太を目を細めて、放物線を描くボールを打ち返した。


「よし!午前の練習はここまで。昼飯食って、午後から試合だ。3年VS1、2年な」


顧問の前に集合した部員たちの間に興奮したさざめきが広がる。


「じゃ、解散」


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