幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
翌日、礼太はひっそりと、当主の座を譲り渡された。


礼太の首筋には、廉姫の手によって魔痕が印された。


廉姫が触れた途端、紫陽花のような鮮やかな痣が花ひらき、すぐに目には見えなくなった。


その魔痕は加護であり、戒めでもある。


礼太こそが妖退治の奥乃家が十七代目当主である証でもあった。


首筋の痛みに耐える礼太に、華女と廉姫が静かに平伏した。




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