幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
駆け足はそう長くもたず、少し息を切らせて、礼太はゆっくりと歩き始めた。
行くあてがあるわけではないので、ただ真っ直ぐに進み、気が向けば角を曲がる。
見知った場所を抜け、来たことのない住宅地に迷いこむ。
低い塀に囲まれた木造建築が並ぶ、比較的古い住宅地だ。
庭から紫色の花びらをのぞかせる低木が見えて、その鮮やかな色にしばし見とれる。
しばらく行くと田んぼに出た。
このへんの田んぼはすべて新興住宅に埋まってしまったと思っていた。
空はまっさらに晴れていて、礼太の目に映るのは穏やかな田舎の景色そのものだった。
田んぼに沿って歩くと、目の前に山の雑木林の入口が見えた。
道は舗装されているが、コンクリートが剥がれてでこぼこしているし、結構緑が深くて暗い。
一瞬躊躇ったが、一本道のようだし、迷う前に戻ってくればいいと、そのまま歩を進めた。
山道は遠目で見るよりずっと明るかった。
木々の狭間から申し分なく朝日が降ってくる。
少し行くと、三体のお地蔵さまが現れた。
それぞれ赤い前掛けをしており、愛嬌のある笑みを浮かべている。
そして真ん中のお地蔵さまだけ少し小さかった。
その様子がかわいらしくて、思わずくすりと微笑む。
何気なしに手を合わせ、さらに道を進んだ。
一本道はどこまで行っても分かれることなく、ひたすら頂上に向かって続いていた。
行くあてがあるわけではないので、ただ真っ直ぐに進み、気が向けば角を曲がる。
見知った場所を抜け、来たことのない住宅地に迷いこむ。
低い塀に囲まれた木造建築が並ぶ、比較的古い住宅地だ。
庭から紫色の花びらをのぞかせる低木が見えて、その鮮やかな色にしばし見とれる。
しばらく行くと田んぼに出た。
このへんの田んぼはすべて新興住宅に埋まってしまったと思っていた。
空はまっさらに晴れていて、礼太の目に映るのは穏やかな田舎の景色そのものだった。
田んぼに沿って歩くと、目の前に山の雑木林の入口が見えた。
道は舗装されているが、コンクリートが剥がれてでこぼこしているし、結構緑が深くて暗い。
一瞬躊躇ったが、一本道のようだし、迷う前に戻ってくればいいと、そのまま歩を進めた。
山道は遠目で見るよりずっと明るかった。
木々の狭間から申し分なく朝日が降ってくる。
少し行くと、三体のお地蔵さまが現れた。
それぞれ赤い前掛けをしており、愛嬌のある笑みを浮かべている。
そして真ん中のお地蔵さまだけ少し小さかった。
その様子がかわいらしくて、思わずくすりと微笑む。
何気なしに手を合わせ、さらに道を進んだ。
一本道はどこまで行っても分かれることなく、ひたすら頂上に向かって続いていた。