幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
なんとも言えない空気が流れた後に、旦那さんが、


「えーと、すぐに家内がお茶を……あ」


「ママが持ってきてくれるわけないじゃない、ぶち切れてんだから」


奈帆子がこれみよがしにため息をついた。


「申し訳ありません、奥さんの心中を煩わせてしまったようで」


謝る雪政に、いや、君たちのせいじゃないんだ、悪いのはあらかじめ話していなかったわたしだ、と旦那さんは弱々しく微笑んだ。


どうも何か事情があるらしい。


「……詳しい依頼内容をお伺いしてもよろしいですか」


華澄の言葉に旦那さんは、ええ、とうなづいた。


「慈薇鬼さんには大体のことはお話しているし、奥乃さん方も恐らく奈帆子から聞いているでしょうが」


はじめは些細なことからでした、と旦那さんは始めた。


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