幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
食事が終わった後、いろいろと決めなければならないことがあった。


なんせ一組でいい退魔師が二組。


ただでさえ仲が悪いので、どうかすると衝突事故を起こしかねない。


まず、はじめに決めたのは今晩どっちが旦那さんの寝室で寝ずの番をするかということだった。


首を締めにくるという白い手をこの目で見てみなければという見解が一致してしまったのだ。


奥さんがどういう反応をするかという心配もあったが、最近はいろいろあって寝室は別にしているらしい。


結局これはじゃんけんという平和な方法で慈薇鬼が勝利をおさめた。


今晩が慈薇鬼、奥乃は明日だ。


もちろん今晩で希皿たちが片を付けてしまう可能性もある。


もう一つ決めたのは、万が一結界を張るようなことがあればその場所を知らせること。


そして他の術を使うときもそれができる状況であれば相手側に知らせること。


この屋敷の怪異と昏倒しかねないからだ。


この約束を頑なに主張したのは希皿だった。


礼太は数十日前、希皿に言われたことを思い出してぞわりとした。


(奥乃の力は魔の力……魔力だ)


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