幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
灯りを消した後も、礼太はしばらく寝付けなかった。
それほど神経質はたちではないが、どうも落ち着かない。
簡易ベッドから頭をあげ、じいっと天井を睨みつけたが勿論何が視えるわけでもない。
妹と弟はあっという間に寝入ってしまったようだ。
繊細な聖も、他所の家で寝泊まりすることには礼太よりずっと慣れているためか、聞こえてくる寝息は安らかだった。
再びドサリと身体をベッドにしずめ、なんとか寝入る努力をする。
いつまでも目が冴え冴えとしてうんざりしていたが、やはり礼太の中にも疲労は溜まっていたらしく、いつの間にやら眠っていた。