幻桜記妖姫奧乃伝ー花降る里で君と
辻家の敷地とそこまで続く道路以外には人の手がほとんど入っていないらしく、探索するには藪の間をわけ進んで行くしかなかった。
よくもまぁ、暗い夜中にこんなところを歩けたものだと、今更ながら華澄と聖に感心する。
「ねぇ、なんで首締め幽霊の待ち伏せを中止したの?」
若干息を荒げながら前を進む妹に問うと、そっけない返事がかえってきた。
「中止するわけないじゃない。勿論、今日は徹夜よ。」
ぴたっと身体が止まる。
背後の音がしなくなったのに気づいた華澄が少し頬を膨らませながら戻ってきた。
「もう、離れて迷子にならないでよ?」
「いや、なんないけど……」
さも当然という顔をしている華澄に、真意を目で問う。
「奥さんと奈帆子に聞かせたかったのよ。今日はおっかない退魔師はいませんよぉ、旦那さん無防備ですよぉって」
よくもまぁ、暗い夜中にこんなところを歩けたものだと、今更ながら華澄と聖に感心する。
「ねぇ、なんで首締め幽霊の待ち伏せを中止したの?」
若干息を荒げながら前を進む妹に問うと、そっけない返事がかえってきた。
「中止するわけないじゃない。勿論、今日は徹夜よ。」
ぴたっと身体が止まる。
背後の音がしなくなったのに気づいた華澄が少し頬を膨らませながら戻ってきた。
「もう、離れて迷子にならないでよ?」
「いや、なんないけど……」
さも当然という顔をしている華澄に、真意を目で問う。
「奥さんと奈帆子に聞かせたかったのよ。今日はおっかない退魔師はいませんよぉ、旦那さん無防備ですよぉって」