星の音 [2013]【短】
「美味しい」


ポツリと呟いた彼女に、クッキーの入ったお皿を差し出す。


「甘い物も一緒にいかが?」


「え?」


「きっと、疲れが取れますよ」


「ありがとうございます」


オルゴールの音色が、静かな店内を包む。


いつもの音に耳を傾けながら、口を開いた。


「あなた、高校生かしら?」


「はい」


「何年生?」


「あの……三年、です」


「そう、大変な時期ね」


少しずつ口調を変えていくあたしに、彼女も釣られたのだろうか。


「はい……。色々、大変で……」


ポツリポツリと話し始めた彼女は、どうやら今後の進路で悩んでいるらしい。


「同じように悩んでた親友が、ここに来て元気になったって言ってて……。だから、あたしも……」


どこか落ち込んだようにも見える彼女は、カフェオレの入ったカップに視線を落とした。


「大丈夫」


彼女の肩に手を置き、柔らかく微笑んで見せる。


「あなたにピッタリの本があるわ」


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