あなたと私のカネアイ
 ひとしきり一人で暴れて恥ずかしさを霧散させ、なんとか気持ちを立て直し、時計を確認する。
 まだ六時になっていない。昨日、早く眠ったから目が覚めてしまったらしい。
 とりあえず、この腫れた目をなんとかしないと……
 ていうか、私、化粧落としてない! 服も昨日のまま!
 ワタワタと着替えを用意して、洗面所に駆け込んだ。
 ひどい顔だ。鏡に映った自分の顔を見てため息が出る。
 とりあえずメイクを落とし、シャワーを浴びようと服を脱ぎ捨てた。

 バスルームに入り、温かなお湯で身体を流すと、なんとなくホッとした気持ちになった。
 昨日はいろいろなことがあって、気持ちもぐちゃぐちゃだったから、すべてを流すようなシャワーはすっきりできて気持ちいい。
 髪の毛を洗いつつ、昨夜のことを思い出そうと目を瞑る。
 ぼんやりとだけど、私、円が自分と結婚した理由を聞いた気がする。
 お金が欲しいってはっきり宣言する私が珍しくて興味を持った、と言われた……よね?
 あれ……?
 そういえば、あのとき円は「最初に会ったとき」って言ったと思う。その後「合コンで」と。
 それって、合コンが初対面じゃないってこと? それとも私が眠くてちゃんと覚えていないだけ?
 頭の中がハテナマークばかりになって、髪の毛を洗っていた手が止まってしまう。

 私、合コンの前に円と会ったことがある……?
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