あなたと私のカネアイ
 私を追いかけてレジにやってきた円は、私が店員さんに差し出したテディベアの隣に自分が持っていた子を置く。
 そして、私の頭をポンと優しく叩くと、やんわりと私の前に出て「会計は一緒で」と言う。

 買ってくれるんだ……それが、素直に嬉しくて頬が緩んでしまう。
 いつもなら「自分で買う」と言い張るのに、円にレジ前の位置を譲ってしまったのは、泣きそうな顔を見られたくなかったから。
 円の背に隠れ、両手で頬を押さえると、少し熱を持ってる気がして更に恥ずかしくなる。

 私、すごく甘やかされてる。
 それを心地良いって思ってしまうくらいには、私は円のことを信頼してて――…

 これは、流されてるの? 私が単純すぎるの?
 それとも、私が難しく考えすぎなの?

 今までこんな気持ちになったことがなくて、わからない。
 円の一言一言に胸が苦しくなって、私はどうしたらいいんだろう。
 私たちの関係はどこまで行ってしまうのか……

 今まで信じてきた考えと、急激に大きくなった気持ちとの間で揺れる。
 私は、円にどこまで委ねればいいのだろう――? 
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