あなたと私のカネアイ
* * *

「ちょっと疲れたね。お腹は? まだ空いてない?」
「……うん」

 お土産を買った後、近くの牧場に寄って二人で作って持ってきたお弁当を食べて、またのんびり過ごしてホテルにチェックインをした。
 広い部屋……高くなかったのかな。
 そんな風に思いながら荷物を置いて、部屋を見渡してベッドに座る。さっき買ってもらったテディベア二匹を枕元に置いてみると、またちょっと泣きそうになった。
 円の言う通り、ちょっと強がっているみたいな拗ね顔の女の子と柔らかな笑みを浮かべる男の子。

「気に入った?」
「ひゃっ!?」

 突然、円が私を後ろからガバッと抱きしめてきて、変な声が出る。私の反応が面白かったのか、円はクスクスと笑って私の身体を引っ張ってベッドの上に乗せた。

「ちょ、ちょっと、円っ」
「んー?」

 円の足の間にスッポリと身体が納まったこの体勢は恥ずかしすぎる。首を捻って円の方を振り向くと、円は目を細めて笑った。

「キスする?」
「なっ、なんで?」
「んー、この場合は……わかんないけど、理由が欲しいなら、“おかえりとただいま”かな」

 私の返事を聞かずに唇を寄せられて、でも拒めなくて、そのままキスをした。求められるまま……唇を開いて、円を受け入れる。
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