あなたと私のカネアイ
 ちゅって、音を立てられると身体が痺れるみたいにじわりと熱くなる。
 キスに夢中になってしまっていたら、お腹に添えられていた円の手がゆるゆると動き、私の胸元に触れた。ビクンと大げさなほどに身体が跳ねて、円が唇を離す。

「ぁ……ま、どか…………ゃ」

 円の瞳の奥が、熱い。でも、拒否の言葉は小さくて……私、どうしたいんだろう。
 このまま、進んでいいの?

「今日、上の空だったね」
「そ、そんなこと……」
「あったよ」

 はっきりと断言されて、言い返せない。

「理由は? 言えない?」

 円の掠れた声が耳元に落とされる。大きな手は胸の膨らみに触れたまま……でも、それ以上動こうとはしない。
 沈黙が続いて、身体が動かなくて、ただそれとは対照的に頭の中はぐちゃぐちゃで、ずっと今まで考えていたことが回ってる。

「結愛」
「わ、わからないの……っ」

 それが、正直な気持ちだった。
 意外とすんなり出てきた言葉は、震えた声に乗っていたけど……
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