あなたと私のカネアイ
「私、流されてる……キ、キスも……む、ねを……触られたときも、なんか、あやふやで……身体がいうことを聞かないっていうか、き、気持ち……ょ、っ、だ、だからっ、その、好奇心とかっ」

 私、何言ってるんだろう。気持ちよかったとか、好奇心とか……言いたいことがまとまらなくて、こんな恥ずかしい話をしたくて切り出したわけじゃないのに。
 大体、気持ち良いとか好奇心とか、私がすごくえっちみたいだし!

「ち、違うの。そういう意味じゃなくて、円のことは、その……たぶん、好き、だけど。でも、だから、えっと……」

 自分の気持ちが全然まとまらない。
 それを整理する間もないまま話そうとするから、自分でも何を言っているのかわからない。

「私は、お父さんとお母さんみたいになりたくないって思ってて、でも……」

 ただ快楽に流されて”子供ができる”かもしれない行為をしたくない。でも、円に触れられると、嫌だって気持ちが薄れて……それって、やっぱり流されてるってことじゃないかって不安で。

 ああ……もう! 矛盾ばっかりだ。
 円もきっと呆れてる。大体、こんな支離滅裂な私の言葉を理解する方が難しいに決まってる。

「流されては、ないと思うけど」

 でも、円はそんな私の拙い告白を悟ってくれたみたいだった。
 おそるおそる顔を上げると、円は目元を赤くして口を手で押さえている。ゆっくり肩を上下させて長い息を吐き出した後、外されてた視線がゆっくり私に戻ってきたと思えば、身体を引き寄せられて強く抱きしめられた。
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