あなたと私のカネアイ
* * *

「結愛」

 結婚式の後、食事をして家に帰ってきた私と円はソファに座って一息つく。真ん中で寄り添うように座る2人の距離は、今までで一番近い気がした。

「疲れた?」
「うん……ドレスって着るの大変なんだね」
「綺麗だったのに、結愛、終わったらすぐ脱いじゃって……」

 そりゃあ一生に一度のものだし、綺麗だったから満足だけど……お化粧をしたり、髪型を整えてもらったり、意外に時間がかかった。家族と親しい友人だけを呼んだ小さな結婚式と食事会だったけど、やっぱりそれなりに気を張るし疲れてしまうのは必然だろう。
 目を閉じて円の肩にもたれると、彼は私の頭を撫でてくれたけど……すぐにグッと身体を引かれて膝の上に乗せられる。

「結愛……寝ちゃ、ダメだよ?」
「……だって、眠い」

 子供みたいにわがままを言うと、円は笑って私にキスをする。
 結婚式のときとは違う、深くて熱いキスだ。
 
「っ、ん」

 鼻にかかった声が漏れて、身体がじわりと熱くなっていく。円は私のワンピースの裾から手を入れて太ももを撫でる。
 私は身を捩って彼の手から逃れようとするものの、腕は彼の背に回したままキスを続ける。

「結愛。好きだよ」

 チュッと音を立てて離れた円が色っぽい眼差しで私を見つめて耳元で囁く。
 円の声にビクッと身体が跳ねて、恥ずかしい。
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