あなたと私のカネアイ
 ソファーテーブルの方へマグを置いた円さんがソファに腰を下ろし、私もそれに倣ってソファの端に座る。

「そんな端っこでいいの?」
「……ダメなんですか?」

 首を傾げる円さんに、聞き返す。

「俺は構わないけど」

 それなら問題ない。というか、彼が構うと言っても私は自分の座る場所を変えるつもりはないけど。
 私はコーヒーのマグを持ち、温かいそれを喉に流し込む。円さんも同じようにコーヒーを飲み、2人同時にテーブルにマグを戻した。

「ねぇ、結愛」
「なんですか?」

 円さんの方へ顔を向けると、彼も私を見ていた。
 ソファの端と端――円さんは普通に右側に座ってるだけなんだけど――に座る新婚夫婦はそういないだろうな。

「結愛は、俺と考えが違っても構わないって言ってたよね?」
「はい。私にそれを押し付けないということは約束してもらいましたから。頭の中がどうなっていようが私には関係ありません」

 条件を押し付けた私に言われたくないかもしれないけど……それを呑むって言ったのは円さんだし、そこはお互い合意の上ってことでいい……よね?

「じゃあ、俺の頭の中で結愛が裸になっててもいいの?」
「は!?」

 ソファからずり落ちそうになって、慌てて背もたれを掴む。
 この人は何を言い出すの?

「俺の頭の中がどうなっててもいいって言うから。俺が何を想像してもいいってことでしょ? 例えば、結愛とのセ――」
「わあああぁぁぁあ!」

 顔が熱い。
 真面目な顔して何てことを……
 宇宙人、怖い。
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