あなたと私のカネアイ
「明日はゆっくり寝られるよ。結愛、明日お休みでしょ? あ、でも午後は空けておいて」
柔らかな笑みを浮かべて円さんが言う。この人は朝も昼も夜も変わらないな……
「何かあるんですか?」
休みの日は基本部屋に籠もってゴロゴロしている私の生活を把握してる彼が、わざわざ午後の予定を空けろと言うのは初めてだ。
「結愛、明日が何の日か知ってる?」
「知りません」
「結婚一ヶ月記念日だよ」
円さんは即答した私に怯むことなくクスッと笑って言った。
そういえば、そうだ。
婚姻届を出したのは丁度一ヶ月前。リビングに掛けられているカレンダーに目を向けると、明日の日付に赤丸がついていて「一ヶ月」と書かれている。
普通、こういうのって女性の方が気にするものじゃない?
赤丸がハートでなかっただけマシだろうか。
「俺も仕事調整して休みにしたから、デートしよう」
「嫌です。出掛けると疲れます。せっかくのお休みなのに」
「でも、一度もデートしないで結婚一ヶ月っていうのも寂しいでしょ?」
「いえ、別に」
寂しくない。
私は円さんと一緒に過ごしたいと思っていないし、休みの日はベッドから出たくない。
人間は寝貯めできないっていうけど、要は気持ちの問題だ。たくさん寝たら、今週寝足りなかった分を取り戻せた気分、もしくは来週の仕事で寝られない睡眠時間を貯蓄できた気分になる。幸せになれるのだ。
それを奪おうとするなんて、いくら法律上で夫になったからって許しはしない。
少し鼻息の荒くなった私を見て、円さんは持ち上げかけたマグカップをテーブルに戻した。
柔らかな笑みを浮かべて円さんが言う。この人は朝も昼も夜も変わらないな……
「何かあるんですか?」
休みの日は基本部屋に籠もってゴロゴロしている私の生活を把握してる彼が、わざわざ午後の予定を空けろと言うのは初めてだ。
「結愛、明日が何の日か知ってる?」
「知りません」
「結婚一ヶ月記念日だよ」
円さんは即答した私に怯むことなくクスッと笑って言った。
そういえば、そうだ。
婚姻届を出したのは丁度一ヶ月前。リビングに掛けられているカレンダーに目を向けると、明日の日付に赤丸がついていて「一ヶ月」と書かれている。
普通、こういうのって女性の方が気にするものじゃない?
赤丸がハートでなかっただけマシだろうか。
「俺も仕事調整して休みにしたから、デートしよう」
「嫌です。出掛けると疲れます。せっかくのお休みなのに」
「でも、一度もデートしないで結婚一ヶ月っていうのも寂しいでしょ?」
「いえ、別に」
寂しくない。
私は円さんと一緒に過ごしたいと思っていないし、休みの日はベッドから出たくない。
人間は寝貯めできないっていうけど、要は気持ちの問題だ。たくさん寝たら、今週寝足りなかった分を取り戻せた気分、もしくは来週の仕事で寝られない睡眠時間を貯蓄できた気分になる。幸せになれるのだ。
それを奪おうとするなんて、いくら法律上で夫になったからって許しはしない。
少し鼻息の荒くなった私を見て、円さんは持ち上げかけたマグカップをテーブルに戻した。